電流ブースタ・アンプの製作 (1) 40dBのアンプ
汎用OPアンプは、周波数帯域が広くて利得の高い増幅器は得意ではありません。データシートにはG=1という条件で性能が書かれています。G=利得が1というのは増幅しないということです。G=1の回路は、インピーダンスを下げるためなどによく使われます。OPアンプによってはG=1では不安定な製品があり、G=1で使うために別の型番が付けられていることもあります。
●実験用の増幅器の性能を見るための測定器
測定器は、Analog Discovery2を利用します。発振器で1kHz、10mV(20mVp-p)もしくは50mV(100mVp-p)を出力します。
アンプが20dB増幅すれば100mV、40dB増幅すると1Vなので、オシロスコープで観測しやすい出力電圧です。
FFTで信号を見ます。窓関数はすそ野がシャープなBlackman-Harrisを選択しました。表示はPeak Hold continuousもしくはLinear dB Avarageを選択し、大きな変動をみえないようにしています。
1kHz以外に高調波は観測できません。ひずみがないきれいな正弦波であることが確認できました。
ネットワークアナライザを使えば、増幅できる帯域を調べられます。
●増幅回路
OPアンプは一般的な2回路入りを使う予定で、ソケットで差し替えられるようにします。非反転増幅回路にします。増幅度は、
1 + R1 / R2
R1に100kΩ、R2に1kΩを使うと、101倍になります。40.09dBですから、ほぼ40dBのアンプになります。
コラム 以前、私が勧めた抵抗の使い方は、もう止めてください
アナログ・デバイセズの読み物は大変有用です。特にOPアンプの回路にかかわることは目を通しておくことがたいせつです。
ずっとむかし、uA741はそれまでのOPアンプが位相補正が必要で、使い方がアマチュアには難しかった問題を解決した最初の製品です。ですから、大変多くの回路がこのデバイスを活用して紹介されました。が、その後、とても優秀なデバイス製造プロセスが開発されてきたため、この時代の常識が、今の常識から外れていることがあります。
741の時代、PNPタイプのトランジスタの特性はNPNに比べてとても悪く、回路構成でその分を補うように作られた回路が多いです。