電流ブースタ・アンプの製作 (5) 実機で動作検証

 前回、

  • 増幅度を上げると、コレクタ電流は増える
  • 負荷抵抗を下げるとコレクタ電流は増える

という傾向がシミュレーションで確認できました。ここでは、コレクタ電流温度を測りながら100倍の増幅器を目指します。

回路

 交流電圧計で電流を測れるようにエミッタにR5=R6=10Ωを入れます。
 増幅率は100(101)倍にしたいのでR1=100k、R2=1kにします。
 R3=R4=1.8kで変更なしです。
 負荷RLは軽い10kからスタートします。

 シミュレーションです。

 実行状態です。Keithley 2000の交流電圧計でR5の両端の電圧は2.7mVなので、電流は0.27mAです。交流電圧計は実効値rmsです。シミュレーションで見えているのはピーク値です。正弦波ではないのですが、True実効値という呼び名で、電圧を測ります。それがどのくらい正弦波とかけ離れていても正しく測れているかは不明です。

 負荷抵抗RLを470Ωに変更しました。ピークで11mA流れています。

 出力は10k負荷と同じだけスイングしています。R5の電流は4.1mAでした。

 ここで実験したMAX30208温度計を2SC1815印字面にメンディング・テープで貼り付けます。

 電源を入れて約2分後の温度です。

 負荷抵抗RLを47Ωに変更しました。ピークで約110mA流れています。

 実際の回路です。プラス側がクリップを始めています。

 Keithley 2000の交流電圧計の読みをオームの法則で換算すると、R5の電流は43.6mAです。上記のクリップした状態から計算すると、110mAです。
 R5には、正弦波の半分しか波形分しか電流は流れません。計測器は実効値表示なので、(110/2)*0.7=38.5mAと考えると近い値が測定できています。

 温度は26.2℃でスタートです。3分で50.0℃を超えた後、温度が下がり始めました。R5の電流は変わりません。出力電圧も変わかりません。もしかしたら、メンディング・テープが緩くなったのかもしれません。5分を過ぎてから43℃付近です。10分ほどで測定を終了しました。
 ダイオードとトランジスタは約2cmほどの距離があります。トランジスタの発熱によりダイオードの温度特性に影響をしバイアス電圧を動かしてトランジスタのベース電流を減少させたとはあまり考えられません。

100倍、負荷68Ω

 前回のシミュレーションで負荷70Ωが妥当な値だと見当をつけました。実際の抵抗68Ωで実験をします。シミュレーションでは、ピークで70mAの電流が流れます。

 波形にひずみはありません。実測29.7mA流れています。

 2SC1815の表面温度は38℃付近です。

 ひずみなく100倍に増幅しています。

 周波数帯域は、OPアンプ単体と変わらず100kHzまであります。

 OPアンプ単体だとピークで約70mA、トランジスタの電流ブースタをつけても110mAです。あまり改善されたとは言えないです。OPアンプ自体は指先で触れてもあったかくありません。トランジスタはほんわかあったかいです。熱的には安定な回路だと言えます。

連載 電流ブースタ・アンプの製作

(1) 40dBのアンプ

(2) 40dBのアンプの特性

(3) PNP/NPNのトランジスタ

(4) シミュレーション

(5) 実機で動作検証

(6) 中電力のトランジスタ

(7) ダーリントン接続