電流ブースタ・アンプの製作 (6) 中電力のトランジスタ

 2SC1815L-GR/2SA1015L-GRの組み合わせで電流ブースト回路の実験をしました。OPアンプ単体だとピークで約70mA、トランジスタの電流ブースタをつけてもピーク電流は110mAでした。この時の負荷抵抗は68Ωです。これ以上低くすると、出力がクリップし始めます。

 ここでは、少し電流がたくさん流せるトランジスタを利用します。昔の回路を見ると、ダーリントン接続をして電流を増やす回路が多いのですが、ここでは、たんに2SC1815l-GR/2SA1015L-GRを2SC3422-Y2SA1359-Yに差し替えて利用します。Yランクなので、hFEは低いです。といってもこの製品にGRやBLランクはありません。

  2SC1815(東芝) 2SC3422-Y(東芝)
Vceo[V] 50(最大) 40(最大)
Ic[A] 0.15(最大)  3(最大)
hFE 200~400 120~240
Pc[W] 0.4 Ta=25℃:1.5、Tc=25℃:10

  Tc=25℃は無限大の放熱器を付けたときのコレクタ損失です。

負荷抵抗68Ωからスタート

 R2=1k、R1=100kで100(101)倍の増幅率です。
 R3=R4は前回から変更せずに1.8kです。
 R5=R6は電流を測るための10Ωで、変更していません。
 負荷のRLは68Ωのままです。

 トランジスタのリード線は太く、ICソケットにそのままでは入りませんでした。ヤスリで削ずりました。

 R5の交流電圧は0.295Vでしたから、2SC3422-Yのコレクタには29.5mAの電流が流れています。2SC1815L-GRのときは29.7mAでしたから、ほぼ同じ結果です。

負荷抵抗47Ω

 負荷抵抗を小さく47Ωにしました。出力波形はクリップしていません。実測電流は43.7mAです。

負荷抵抗39Ω

 負荷抵抗を小さく39Ωにしました。出力波形はクリップします。実測電流は51.5mAです。次の画面から計算するとピーク電流は133mAです。2SC1815L-GRの110mAに比べると少し電流を取り出せ、熱的にも余裕がある状態だとわかります。

実用化のために

 エミッタに10Ωを入れたのは、測定と計算がしやすいためです。実際は1Ωもしくはその半分でよいでしょう。

 より電流を取り出したい場合はダーリントントランジスタを利用したりしますが、そのときは、

  • 発振する場合があるので、OPアンプの出力に100Ωぐらいの抵抗を直列に入れる
  • 電流が流れ過ぎたときに高温になるのを電流を下げて調整する回路
  • 出力を物理的にショートしたときの保護回路

などを考慮すると、パワー・アンプが作れますが、回路は複雑になります。

連載 電流ブースタ・アンプの製作

(1) 40dBのアンプ

(2) 40dBのアンプの特性

(3) PNP/NPNのトランジスタ

(4) シミュレーション

(5) 実機で動作検証

(6) 中電力のトランジスタ

(7) ダーリントン接続