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電流ブースタ・アンプの製作 (3) PNP/NPNのトランジスタ

 OPアンプNJM4580DD単体では、出力電流が約70mA程度しか取れないことがわかりました。IC自体に指先で触るとあったかいです。電流を増加するためにエミッタ・フォロワ回路を外付けして、取り出せる電流を増やすことを考えます。

利用するのは定番トランジスタ

 小信号用のトランジスタを選択します。東芝のセカンド・ソース2SC1815L-GRと2SA1015L-GRを利用します。GRはhFEのランクで大きい分類です。2SC1815と2SC1815Lのおもな特性を見ると、同じですね。

  2SC1815(東芝) 2SC1815L(ユニソニック)
Vceo[V] 50(最大) 50(最大)
Ic[mA] 150mA(最大)  150mA(最大)
hFE 200~400 200~400
Pc[mW] 400 400

回路

 OPアンプ回路にエミッタ・フォロワ回路を追加しました。ダイオードは、トランジスタのバイアスを作ります。
 R1=100kΩ、R2=1kΩ、R3=R4=1.8kΩ、D1とD2は一般的なスイッチング用小信号用ダイオードです。古い回路図では1S1588がよく登場しますが、現在は作られていません。

 RL=10kΩで動かします。オレンジ色が入力の100mVp-pの信号です。青色が101倍増幅し、エミッタ・フォロワの出力です。約10.4Vp-pなので、増幅率は正しいです。
 トランジスタを指先で触ると、とても熱いです。感覚的に50℃は超えている模様です。つまり、この回路は正常に動作していないことがわかりました。

LTspiceでシミュレート

 トランジスタに流れる電流=コレクタ電流(Ic)はベース電流のhFE倍です。したがって、ベース電流がたくさん流れ過ぎていると考えられます。上記の実験回路で抵抗値をむやみに変更すると、今以上トランジスタに電流を流して熱で破壊してしまうことも考えられるので、シミュレータを使って何をどうすれば、何が変わるかを確認します。

連載 電流ブースタ・アンプの製作

(1) 40dBのアンプ

(2) 40dBのアンプの特性

(3) PNP/NPNのトランジスタ

(4) シミュレーション

(5) 実機で動作検証

(6) 中電力のトランジスタ

(7) ダーリントン接続