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初心者のためのLTspice入門 LCRを用いた回路の検討(1)抵抗器(レジスタ)では交流信号の周波数が変わっても抵抗値は変わらない

 L(インダクタ)、C(コンデンサ)、R(レジスタ)は、電子回路を構成する基本となる素子です。これらの個々の素子の特徴をLTspiceで確認し、それらの素子を組み合わせて構成される回路、主に各種フィルタ回路をLTspiceで動作確認していきます。
 抵抗器の特徴から確認します。

抵抗器(レジスタ)

 1kΩの抵抗器に、ピーク値±1Vのサイン波を加えます。周波数は1Hzから1GHzまで変化させます。回路は次に示すようになります。

電源の設定

 AC解析のためには、Voltageの設定のところで次に示すように、Small signal AC analysis(AC)のAC Amplitudeの欄にAC解析のAC信号の大きさを設定します。通常は0dBとなる1Vを設定します。単位のVは省略できます。
 あわせて過渡解析のための信号源として正弦波の設定を行います。SINEにチェックを設定し、DC offsetは0、Amplitudeは1V、周波数は1kと設定しています。

AC解析の設定

 AC解析の設定は、次に示すように設定しました。1HzからOctave単位で変化し1GHzまで周波数を変化させます。オクターブ間は20ポイントのシミュレーション間隔で結果を表示します。この数を少なくすると直線的に変化しない場合、滑らかな曲線になりません。通常はこのくらいの値で設定しています。

抵抗器のシミュレーション結果

 一般的な抵抗器(レジスタ)の場合は、抵抗値は特別な高周波でないかぎり周波数の影響は受けません。そのため、シミュレーション結果は次に示すように全周波数帯域で電流値は1Hzから1GHzまで変化しません。その値は -60dBと表示されて1Aの1/1000の1mAとなっています。位相も0度で変化しません。

 抵抗R1に加わる電圧と電流の波形を確認するために、1kHzの周波数で過渡解析してみます。回路図上の .acのコマンドをマウスの右ボタンでクリックすると、Edit Simulation Commandの画面が表示されます。Transientのタグをクリックして、次のように解析時間を10msに設定します。

過渡解析の結果

 次に示すように、抵抗に加わる電圧V(n001)と抵抗に流れる電流I(R1)は同じ位相0度で、電圧の波形も電流の波形も重なっています。

 R1に流れる電流は オームの法則により、

  抵抗に流れる電流= 抵抗の両端に加わる電圧 / 抵抗器の抵抗値(レジスタンス)
          = 1 [V] / 1 [kΩ] =1/1000 =0.001 [A]
          = 1 [mA]


となります。
 一方、インダクタ(コイル)やコンデンサは、交流電圧を加えると周波数に応じて流れる電流が変化します。次回以降、それらを確認します。

(2018/6/13 V1.0)

<神崎康宏>

初心者のためのLTspice入門 ◆オームの法則を確認する

(1) 抵抗の設定...(4) 回

◆オームの法則で回路に任意の電圧を作る

(1) 抵抗分割...(4)回

◆LTspiceXVIIはUNICODEに対応して日本語表示もできる

(1) LTspiceXVIIで日本語を表示...(3)回

◆シミュレーション結果を保存しその結果を利用する

(1) WAVEファイルにする...(5)回

◆AC電源から直流電源を作る

(1) ダイオードによる整流回路...(5)回

◆ダイオードの動作確認

(1) ダイオードのモデル

◆コイルを利用した電源回路

(1) チョーク・インプット型全波整流回路... (5)回

◆LCRを用いた回路の検討

(1) 抵抗器(レジスタ)では交流信号の周波数が変わっても抵抗値は変わらない

(2) キャパシタンス(コンデンサ)Cのふるまい

(3) インダクタ(コイル)のふるまい

(4) CR回路のふるまい

(5) CR回路とパルス波の中身

(6) パルス波をフーリエ級数で表現すると

(7) LRフィルタを作る

(8) 電圧依存電圧源で信号を作る

(9) 電圧依存電圧源のLaplace オプション

スイッチング電源ICのシミュレーション

(1) LTC1144

(2) LTC1144 (2)

(3) LTC1144 (3)