初心者のためのLTspice入門 LCRを用いた回路の検討(1)抵抗器(レジスタ)では交流信号の周波数が変わっても抵抗値は変わらない
L(インダクタ)、C(コンデンサ)、R(レジスタ)は、電子回路を構成する基本となる素子です。これらの個々の素子の特徴をLTspiceで確認し、それらの素子を組み合わせて構成される回路、主に各種フィルタ回路をLTspiceで動作確認していきます。
抵抗器の特徴から確認します。
●抵抗器(レジスタ)
1kΩの抵抗器に、ピーク値±1Vのサイン波を加えます。周波数は1Hzから1GHzまで変化させます。回路は次に示すようになります。
●電源の設定
AC解析のためには、Voltageの設定のところで次に示すように、Small signal AC analysis(AC)のAC Amplitudeの欄にAC解析のAC信号の大きさを設定します。通常は0dBとなる1Vを設定します。単位のVは省略できます。
あわせて過渡解析のための信号源として正弦波の設定を行います。SINEにチェックを設定し、DC offsetは0、Amplitudeは1V、周波数は1kと設定しています。
●AC解析の設定
AC解析の設定は、次に示すように設定しました。1HzからOctave単位で変化し1GHzまで周波数を変化させます。オクターブ間は20ポイントのシミュレーション間隔で結果を表示します。この数を少なくすると直線的に変化しない場合、滑らかな曲線になりません。通常はこのくらいの値で設定しています。
●抵抗器のシミュレーション結果
一般的な抵抗器(レジスタ)の場合は、抵抗値は特別な高周波でないかぎり周波数の影響は受けません。そのため、シミュレーション結果は次に示すように全周波数帯域で電流値は1Hzから1GHzまで変化しません。その値は -60dBと表示されて1Aの1/1000の1mAとなっています。位相も0度で変化しません。
抵抗R1に加わる電圧と電流の波形を確認するために、1kHzの周波数で過渡解析してみます。回路図上の .acのコマンドをマウスの右ボタンでクリックすると、Edit Simulation Commandの画面が表示されます。Transientのタグをクリックして、次のように解析時間を10msに設定します。
●過渡解析の結果
次に示すように、抵抗に加わる電圧V(n001)と抵抗に流れる電流I(R1)は同じ位相0度で、電圧の波形も電流の波形も重なっています。
R1に流れる電流は オームの法則により、
抵抗に流れる電流= 抵抗の両端に加わる電圧 / 抵抗器の抵抗値(レジスタンス) = 1 [V] / 1 [kΩ] =1/1000 =0.001 [A] = 1 [mA] |
となります。
一方、インダクタ(コイル)やコンデンサは、交流電圧を加えると周波数に応じて流れる電流が変化します。次回以降、それらを確認します。
(2018/6/13 V1.0)
<神崎康宏>