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初心者のためのLTspice入門 スイッチング電源ICのシミュレーション(5)LTC3261(2)

 LTC3261を電子工作などで使いやすいようにモジュール化したIVR3261 DC-DCコンバータ・モジュールが、980円(税抜き)でマルツオンラインショップで販売されています。

IVR3261 DC-DCコンバータ・モジュール

 大きさは、次に示すように100円玉の中に納まる小型のモジュールです。C1、C2、C3が1μFのセラミック・コンデンサ、抵抗はR2、R3が抵抗値0でジャンパ線の役割を果たしています。R1は実装されていません。2.52mmピッチのIN、COM、OUTの3ピンのピンヘッダがはんだ付けできるようになっています。

 IVR3261の実装されている回路は次のようになります。R1は実装されていなので回路から外してあります。

MODEの設定

 R1、R2はMODEの設定のために用意されています。販売時のボードはR2が実装されていて、MODE端子がGNDに接続されています。これは固定周波数モードの設定です。R2をはんだゴテで温めて外しR1の位置にはんだ付けすると、安定化された出力電圧が得られるBurst Mode動作に設定できます。
 R3の抵抗を変更することで、発振周波数の変更もできます。

 

入力電圧を5Vから30Vまで5Vステップで変化させる

 V1の出力電圧の設定を変数XVで設定し、.stepコマンドでこの変数を開始値5V、終了値30V、刻み幅5Vでリニアに変化する設定にしました。コマンドは次のようになります。

  .step param XV 5 30 5

シミュレーションの設定

 メニュー・バーのSimulate>Edit Simulation CMDを選択し、シミュレーションの設定を行います。Stop timeを5msに設定します。あわせて、次に示すようにStart external DC supply voltages at 0Vをチェックします。このチェックがないと初期化が進まず、シミュレーションがなかなか始まりません。

 パラメータの値を変更してシミュレーションを繰り返すので、シミュレーション時間は通常の6倍かかります。

シミュレーション結果

 リプルがなく、負荷も接続されていないので安定な出力電圧が表示されています。

 

300Ωの負荷を接続する

 300Ωの抵抗を負荷にしてシミュレーションしました。無負荷の場合の出力は-Vinとなります。負荷が接続されると、負荷の大きさに応じて出力電圧も若干低下します。グラフから読み取った値は、次のようになりました。

5Vの入力で出力は-4.6V、15.6mA
10Vの入力で出力は-9.3V、31mA
15Vの入力で出力は-13.9V、46.3mA
20Vの入力で出力は-18.5V、61.6mA
25Vの入力で出力は-23.1V、77.6mA
30Vの入力で出力は27.9V、92.6mA

 

 LTC3261は短絡保護回路を内蔵しています。負荷を30Ωに設定してシミュレーションしてみてください。170mA以上は電流が制限されて流れないようになっているのが確認できます。

(2018/9/21 V1.0)

<神崎康宏>

 

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