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初心者のためのLTspice入門 ウィーン・ブリッジ発振回路のOPアンプ、フィルタの役割 (6) ウィーン・ブリッジ発振回路を実際の回路で確認する

 前回、次の回路をLTspiceでシミュレーションを行い、それぞれ発振を確認しました。今回は、R7を20kΩ、80kΩ、160kΩと変更し、実際の回路でも同様な結果が得られるか確認します。また、C1、C2も0.01μFから0.1μFに変更して結果を確認します。


 
 実際の回路は、「初心者のためのLTspice入門 ウィーン・ブリッジ発振回路のOPアンプ、フィルタの役割 (4) ウィーン・ブリッジ発振回路を単一電源で動作させる
  
で組み立てた回路にダイオードの振幅制御回路を追加し、C1、C2、R7の値をそれぞれ変更して、実際の回路とシミュレーションの結果を比較します。

(1) C1、C2が0.01μFでR7が20kΩの場合

 出力とダイオード経由でマイナス入力を接続するR7の負帰還回路の抵抗の値によって、発振が安定するまで少し時間がかかるものもあります。そのため、シミュレーションを停止するまでの時間を少し長く1200msに設定しました。立ち上がり時に大きく出力が振れるので、結果の記録は1ms以降に設定してあります。XRの値は20kΩ、40kΩ、80kΩ、160kΩでシミュレーションを行います。

●ブレッドボードに組んだ発振回路

 次に、ブレッドボードに組んだ回路を示します。中心のOPアンプはLM358です。下側の左から1、2、3、4番ピンで、出力(1)、マイナス入力(2)、プラス入力(3)で4番ピンはマイナス電源、ここではGNDです。
 上側の右から5、6、7、8番ピンで、8番ピンがプラス電源の端子となります。


 このLM358は二つのOPアンプが収納されています。2番目のOPアンプBの出力が7番ピン、マイナス入力が6番ピンと、プラス入力が5番ピンです。使用していないので何もつながっていません。テストですので未接続のままですが、不要な動きをしないように入力をGNDに接続します。

 LTspiceの回路図で示したのと同じ回路ですので、ジグソーパズルよりはわかりやすいと思います。R7は20kΩ、C1、C2は0.01μFになっています。

●出力の様子をオシロスコープで調べる

 出力は、次に示すようにきれいな正弦波が出力されています。テクトロニクスのTDS2004Bで測定しています。波形の測定もこのオシロスコープで行っています。画面の右側に測定結果も表示されています。周波数が1.421kHz、平均出力電圧が2.50V、波形のピークtoピークの値が984mV、波長の周期が708μsとなり、波長の逆数です。

 次に示すシミュレーション波形と比較すると、2.5Vのラインを中心に正弦波の波形となっています。またピークtoピークの値も1V(1000mV)強で、実際の回路の984mVとほぼ同じ値を示しています。
 周波数はシミュレーションでは1.5kHzくらいの値となっていますが、実際の回路での結果は1.4kHzと少し小さい値です。

●オシロスコープでAC成分のみ調べる

 オシロスコープで直流成分をカットしてAC成分の測定を行いました。波形の形状、周波数などは変わりませんが、平均値の値が2.5Vから3.40mVと大きく減少しました。あわせて正弦波の実効値も347mVと妥当な値が示されています。

●FFTの結果

 FFTの結果は1.4kHzの基本周波数のピークと3倍くらいの周波数のピークが認められました。はっきりしないので周波数の軸を拡大します。

 最小目盛りが100Hzで、500Hzごとのケイ線が引かれています。基本のピークは1400Hz(1.4kHz)でもう一つのピークは4200Hz(4.2kHz)と基本周波数の3倍の周波数のピークであることが確認できました。

 LTspiceでのFFTの結果を次に示します。基本周波数は1.569kHz で2倍の周波数のピークはなく3倍の4.7kHzのピークが認められます。

 LTspiceによるシミュレーション結果と実際の回路との間で10%くらいの発振周波数の差がありました。各パーツの抵抗値、容量は表示値のシミュレーション結果です。次回、各パーツの実測値を調べます。

(2018/11/14 V1.0)

<神崎康宏>

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ウィーン・ブリッジ発振回路のOPアンプ、フィルタの役割

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(3) バンドパス・フィルタの出力の減衰とOPアンプの増幅率の関係

(4) ウィーン・ブリッジ発振回路を単一電源で動作させる

(5) ウィーン・ブリッジ発振回路に振幅の制限回路を付加する

(6) ウィーン・ブリッジ発振回路を実際の回路で確認する

(7) ウィーン・ブリッジ発振回路を実測したCRで確認する