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初心者のためのLTspice入門 OPアンプを利用したフィルタ回路のシミュレーションと実測(2) Scopyのインストール

 ADALM2000には、Scopyと呼ばれるアプリケーション・ソフトが用意されています。ADALM2000を利用する場合、Scopyをインストールして起動します。そのPCとADALM2000をUSBケーブルで接続します。次に、Scopyのグラフィック画面で測定条件などを設定して、回路の特性を測定します。結果はグラフィック画面に表示されます。

 ADALM2000で検索してアナログ・デバイセズのWebページを選択すると、次の日本語のADALM2000の製品概要の画面になります。検索するとトップに商社のWebページが表示されることがありますが、技術情報はアナログ・デバイセズにあります。


  https://www.analog.com/jp/design-center/evaluation-hardware-and-software/evaluation-boards-kits/ADALM2000.html

 

 このページのユーザ・ガイドをクリックし、次の英文のADALM2000のページに移ります。このページのIntroductionの項目の、
   1 ADALM2000 Users & Students
の項目を選択します。

  https://wiki.analog.com/university/tools/m2k

 

エンド・ユーザ向けのページ

 表示されたエンド・ユーザ向けのページに、3 Intro to the Software. Installing Device Drivers on:を選択すると、デバイス・ドライバのインストールの説明ページに移動します。このページに移り、デバイス・ドライバのインストーラをダウンロードし、インストールします。
 次に、5-1ScopyをクリックしてScopyのユーザ・ガイドのページに移動します。このページの最初に、Scopyのダウンロード、インストールの説明が用意されています。

 

ドライバのインストール

 Windowsのドライバを選択すると、次の画面が表示されます。このページには、ドライバのインストール方法の詳しい説明があるので、必要に応じて参照してください。英文のページですがgoogleの翻訳機能を利用すると少し違和感のある個所もありますが、原文を確認しながら読むことで 英文を読むよりは大幅にわかりやすくなります。

  https://wiki.analog.com/university/tools/pluto/drivers/windows

 

ドライバのインストーラのダウンロード

 ドライバのインストール・プログラムは、緑色の次の表示の部分をクリックすると、

  「Windows USB drivers for PlutoSDR and M2k (Windows 32-bit / 64-bit)」

 次のダウンロード・ページが表示されます。

 最新のバージョンが0.7なので、「PlutoSDR-M2k-USB-Drivers.exe - v0.7」のAssetsの後の、

   PlutoSDR-M2k-USB-Drivers.exe

をクリックしてインストーラをダウンロードします。PCのダウンロード・フォルダに548KBのPlutoSDR-M2k-USB-Drivers.exeが保存されます。ダウンロードされたこのインストーラを、ダブルクリックして起動します。
 インストーラが起動すると、最初にシステムがシステムの変更の可否を聞いてきます。システムの変更を許可するとインストールが始まります。

ライセンスの条件に同意

 次の、ライセンスの同意画面で「 I accept agreement」をチェックすると「Next」のボタンがイネーブルになるので、クリックして次へ進みます。

 

 インストールの準備が終わると、次の画面が表示されます。「install」のボタンをクリックしてインストールを開始します。

 インストール・ボタンをクリックすると次のインストールウィザードが表示され、次へのボタンをクリックします。

 

 次へのボタンをクリックしてインストール作業を続けるとインストールが完了し、次の画面が表示されます。

 デバイス・ドライバのインストールが完了し、完了ボタンをクリックしました。

 最後の完了ボタン「Finish」をクリックしてインストールを終えます。

Scopyのインストール

 ADALM2000 for End UsersのScopyをクリックすると、次に示すユーザ・ガイドのページが表示されます。

  https://wiki.analog.com/university/tools/m2k/scopy
 

 概要、Scopyのインストーラのダウンロードに続いて、Scopyの各機能の説明が用意されています。

 

 scopy-v1.03-Windows-setup.exeを選択して、インストーラのダウンロードを開始します。ダウンロードが完了したら、インストーラを起動してインストールを開始します。「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」の問いにハイで答えて先に進みます。

セットアップの使用言語の選択

 使用する言語の選択とあります。この使用言語はセットアップのインストール時に使用する言語の選択で、Scopyが使用する言語の選択ではありません。現在のところScopyでは日本語は利用できません。セットアップは日本語で進めます。

 

ライセンスに同意

 使用許諾契約書の同意を求めてくるので、「同意する」をチェックすると「次へ」がイネーブルになります。次をチェックして進みます。

 デスクトップにアイコンがあると便利ですから、デフォルトの「デスクトップに上にアイコンを作成する」にチェックが入ったまま次へ進みます。

 これでインストールの準備が完了したので「インストール」のボタンが表示されます。ボタンをクリックしてインストールを開始します。

 インストールが開始されると、進行状況がバーグラフで表示されます。

 しばらくすると、次の完了の画面が表示されインストールが終わります。

 インストール後、再起動が必要なので、再起動できることを確認しデフォルトの状態で「完了」ボタンをクリックし、再起動しインストールを完了します。

Scopyを起動する

 Welcome to Scopyのメッセージの中の「our wiki」をクリックするとインターネット上のScopyのユーザ・ガイドのページが表示されます。このユーザ・ガイドのUsing the Applicationの中に各機能の説明があります。

Home

 初期画面はHomeの画面となります。USBポートにはADALM2000はまだ接続されていません。

 USBポートにADALM2000を接続すると次に示すように、ADALM2000のアイコンが表示されます。

 ADALM2000のアイコンをクリックすると、接続の候補として選択され、接続のための「Connect」ボタン、ADLM2000の仕様が表示されます。

 「Connect」ボタンをクリックすると、接続のための作業を開始し表示もConnectingに変わります。

 接続が終わると次に示すように、アナログ処理の較正を行います。較正処理の間はCalibratingの表示になっています。また較正中の項目は□のアイコン表示はありません。

 較正が終わると一連の接続作業が終えScopyとADALM2000が接続され、ScopyからADALM2000を制御し結果が得られるようになります。全項目に□のアイコンが表示されます。

 

周波数特性の測定(Network Analyzer)

 Scopy使用方法の確認として、シンプルな回路の確認から行うものとしてCR回路の周波数特性から調べることにしました。
 1kΩの抵抗と0.1μF積層セラミック・コンデンサを次のように直列に接続しハイカット・フィルタを構成します。

 信号の供給、GNDの接続、信号の取り出しは、次のLTspiceの回路図のようにします。

 コンデンサは、LTspiceXVIIに用意された村田製作所の50V 0.1μFの積層セラミック・コンデンサを選択しました。

 コンデンサを実際の製品のモデルを指定してより、実際に近いシミュレーション結果を期待しました。

橙色の配線(1+)  チャネル1のプラス入力(オシロスコープ1)
黄色の配線(W1)  信号源1の出力
青色の配線(2+)  チャネル2のプラス入力(オシロスコープ2)
紺色の配線(2-)  チャネル2のマイナス入力(オシロスコープ2)
橙白線の配線(1-)  チャネル1のマイナス入力(オシロスコープ1)
黒色の配線(GND) 信号源1のGND

 次に示すように、ADALM2000のW1を掃引信号の入力とします。フィルタ回路の入力となるW1を1+のチャネル1で測定しリファレンスとします。左端の3本がGND、真ん中の1本がフィルタの出力、右側の2本が信号入力とリファレンスのチャネル1の1+の入力です。

Network Analyzerの設定

 Network Analyzerの文字をクリックすると、次に示す画面になります。右上の歯車のアイコンと横線3本のアイコンで、必要な事項の設定を行います。

 右上端のアイコンはリファレンス、掃引周波数の範囲の大きさを設定する画面の表示、非表示のトグル動作となります。
 ここでは、リファレンスはチャネル1、表示はLOG表示、10Hzから30MHz、掃引信号の大きさは1Vと設定されています。

 

 歯車のアイコンをクリックすると、ボーデ線図(ボード線図)、ナイキスト線図、ニコルス線図の選択を行います。当面はボーデ線図メインに考えます。Exportは測定データをcsvファイルとして書き出します。

RUNをクリックして実行

 RUNボタンをクリックして測定を実行します。LTspiceのシミュレーションでは、ゲインは一様に減少し上昇することはありませんでした。しかし、実際の回路の測定では3MHzくらいで急激な減少後ゲインは上昇しています。その周波数で位相も急激な変動が示されています。

 次回、LTspiceのシミュレーション結果と実際の回路の測定結果との違いを確認していきます。

(2019/1/8 V1.0)

<神崎康宏>

初心者のためのLTspice入門 

OPアンプを利用したフィルタ回路のシミュレーションと実測

(1) 実測値を測定するための準備

(2) Scopyのインストール

(3) コンデンサにはインダクタンス成分もある

(4) ムラタ製作所のセラミック・コンデンサのLTspice用のデータを利用する

(5) シミュレーション結果とScopyによる実測値とを比較する

(6) 非反転増幅器のシミュレーション結果とScopyによる実測値とを比較する

(7) 単一電源で動作させる

(8) 単一電源でAC信号を大きく振幅させる

(9) LTspiceのシミュレーション結果をADALM2000でトレース

(10) 低域の周波数特性の改善


◆オームの法則を確認する

(1) 抵抗の設定...(4) 回

◆オームの法則で回路に任意の電圧を作る

(1) 抵抗分割...(4)回

◆LTspiceXVIIはUNICODEに対応して日本語表示もできる

(1) LTspiceXVIIで日本語を表示...(3)回

◆シミュレーション結果を保存しその結果を利用する

(1) WAVEファイルにする...(5)回

◆AC電源から直流電源を作る

(1) ダイオードによる整流回路...(5)回

◆ダイオードの動作確認

(1) ダイオードのモデル

◆コイルを利用した電源回路

(1) チョーク・インプット型全波整流回路... (5)回

◆LCRを用いた回路の検討

(1) 抵抗器(レジスタ)では交流信号の周波数が変わっても抵抗値は変わらない

(2) キャパシタンス(コンデンサ)Cのふるまい

(3) インダクタ(コイル)のふるまい

(4) CR回路のふるまい

(5) CR回路とパルス波の中身

(6) パルス波をフーリエ級数で表現すると

(7) LRフィルタを作る

(8) 電圧依存電圧源で信号を作る

(9) 電圧依存電圧源のLaplace オプション

◆スイッチング電源ICのシミュレーション

(1) LTC1144 (2) LTC1144 (2) (3) LTC1144 (3) (4) LTC3261(1) (5) LTC3261(2) (6) LTC3202(1)

◆ウィーン・ブリッジ発振回路のOPアンプ、フィルタの役割

(1) 低周波の正弦波発振回路

(2) ウィーン・ブリッジ回路各様の特性を.measコマンドで測定

(3) バンドパス・フィルタの出力の減衰とOPアンプの増幅率の関係

(4) ウィーン・ブリッジ発振回路を単一電源で動作させる

(5) ウィーン・ブリッジ発振回路に振幅の制限回路を付加する

(6) ウィーン・ブリッジ発振回路を実際の回路で確認する

(7) ウィーン・ブリッジ発振回路を実測したCRで確認する