初心者のためのLTspice入門 フィルタ回路の再確認(3)ホワイト・ノイズをフィルタにかけると
ホワイト・ノイズは全周波数領域で同じ強度をもちます。LTspiceではコンポーネントVB(Arbitrary behavioral voltage source)を使用します。具体的な出力の使用は、white()と呼ばれる±0.5の範囲でランダムな値を発生する関数を利用します。
0から1の間の乱数値を発生するrand(x)関数も用意されていますが、white(x)のほうがよりスムーズな変化となります。
今回は、可聴領域を20kHzとしてxの値を次のように設定しました。
2 * pi * 20k * time pi :円周率 time:経過時間単位はsec(秒) |
この設定で1秒間 過渡解析を行った結果を次に示します。波形のピッチも荒く高い周波数の成分があまり含まれていないように見えます。
●シミュレーション結果をFFTで調べる
FFTの結果は、次に示すように200Hzの周波数成分以上の高い周波数の減衰が大きく、20kHzくらいまでの成分が含まれていることを期待していましたが、そうではありませんでした。
●Maxium Timestep
20kHzの周期は1sec/20000=0.05msです。1サイクルに2ポイントのシミュレーションは行うとして、Maxium Timestepの値を25μsに設定しました。
次に示すように、緻密なシミュレーション結果が得られました。FFTで構成される周波数成分を確認してみます。
グラフ画面をマウスの右ボタンでクリックし表示されるリストからViewを選択し、表示されるリストからFFTを選択します。この処理で、このグラフ表示された波形のFFTを設定する「Select Waveforms to include in FFT」の画面が表示されます。デフォルトの設定で実行します。
FFTの実行結果は、次に示すように20kHzまでの成分が同じようなレベルで維持され20kHz以上の成分が急激に減少しています。
次のR1・C1のローパス・フィルタを通過させてみます。V(out2)がその結果です。
●FFTの結果
次に示すFFTの結果から、約1500Hz以上の成分が減少しているのがよくわかります。
●out1、out2の出力をWavファイルに保存
ホワイト・ノイズとフィルタを通過した波形データを、それぞれwavファイルで保存しその音を聞いてみます。ステレオの右・左を独立に再生できる場合は、次のようにステレオで保存します。
.wave x:\電子クラブ\Ltspice\adalm2000\out2.wav 16 44.1k v(out2) v(out1)/2 |
ステレオのチャネルごとの再生が容易でない場合、次のようにホワイト・ノイズを保存します。フィルタを通過した波形(out2)がホワイト・ノイズのレベルの半分くらいなのでv(out1)/2としています。out11.wavはホワイト・ノイズの音源のファイルです。
.wave x:\電子クラブ\Ltspice\adalm2000\out11.wav 16 44.1k v(out1)/2 |
out21.wavはフィルタを通過した音源のファイルです。
.wave x:\電子クラブ\Ltspice\adalm2000\out21.wav 16 44.1k v(out2) |
確かめてみてください。
(2019/6/23 V1.0)
<神崎康宏>